バンフの夜は、満天の星を期待して星空ツアーに出かけたが、満月の明かりが闇と星の光を阻んで輝いていた。
山頂脇にどうにか金星の明かりが見えたが、こちらは生憎と雲がかかっていていた。ガイドさんが「時折オーロラが見えるんですよ」と期待する話をしてくれたが、肉眼ではどうしても雲にしか見えなかった。
それが、帰国して写真を編集すると、薄らだが雲に赤い色が付いていた。
オーロラは、カメラで撮影したほうが美しく見えると言う話は知っているので、満天の星空の代わりにこの雲にかかったのは夕焼けではなく、オーロラの一部だったと信じていよう。





今年の梅雨は当初空梅雨との予想だったが、台風が頻繁に発生するなど7月中旬まで梅雨開けはないだろうと
予測し、昼過ぎに太陽が顔を出す昨日の予報を信じて、日本版ロマンチック街道をドライブすることにした。
関越道を沼田インター目がけて一路走ったが、高崎近辺で雨が降り出したこともあり、急遽伊香保で降りて両親の墓参りに変更した。
墓参りの後早目のお昼を食べようと毎回寄るお蕎麦屋さんへ。美味しい十割蕎麦を頂いて外に出ると雨が上がっていた。ついでの墓参りになってしまったが、天にいる両親のお陰だろうと、改めた感謝。時間的にはタイトだったが、せかく来たのだからと、また沼田インターを目指して関越道に入った。
昨年は、本場ドイツのロマンチック街道を旅したが、沼田から金精峠を越えて日光に出る日本版ロマンチック街道120号線を一気に走るのは初めての経験だった。
沼田インターからは、だれもが知っている尾瀬の登山口片品村方向にハンドルを切った。と言っても、キャンカーを運転するのはかみさんで、私は楽なナビ役。
綺麗に舗装されて道を快適に走りだし、時折見かける旧家の趣がロマンを感じさせてくれる道中ナビに吹割の滝が表示され、立ち寄ることにした。予報通りの青空と澄んだ空気に糸を引くような美しい滝の流れは、この先の感動を予感させてくれた。
ガスがかかっていたので白根山のロープウェーを諦め、昭和28年に制定された日本観光名所100選湖沼部門一位に輝いた菅沼の湖畔へ下っていった。カナダの湖に負けず劣らず美しく、コーヒーを沸かして暫しの散策を楽しむ。
ここで運転をスイッチし、金精峠越えに挑む。道は相変わらず綺麗に舗装されていたが、そこはキャンカー重たいだけに上りはキツイ。バックカメラに映る車に先行を譲りながら登り切り、今度はエンジンブレーキを優先しながら慎重に下って行った。ブレーキのかかりが悪い訳ではないが、重さに耐える分だけ心もとない気もする。
何とか下り終えると、鼻に硫黄の匂いが漂ってきた。そこは奥日光湯元温泉。折角なので立ち寄りの湯に入りたかったが、その後の居眠り運転が怖く湯ノ湖を見るに止めた。
湖はフライフィッシングの竿を降る音が僅かに響くだけで、深閑とした中にその姿を横たえている。湖から流れでる渓流を見たかみさんが「九寨溝みたい」と口にした。かみさんと次女と三人で中国に招待して頂いたことを思い出す。
湯ノ湖を出発し戦場ヶ原に差し掛かった時、一瞬だが陽が差した。その光景が美しく車を停車させカメラに収め、中禅寺湖の湖畔を走り難関のいろは坂を下る。
金精峠の下り坂で要領を得てはいたが、やはりのいろは坂。カーブ・カーブの連続で、緊張した事この上ない。下りきったところでホッとしたのは言うまでもないが、美しい湖沼と山野の展望を振り返ると、ロマンチック街道をまた走ってみたくなった。間違えなく美しいであろう紅葉の時期に。