北山崎同様どうしても訪ねたい場所があった。下北半島の中央部にある円通寺恐山。宇曾利湖と恐山からなるカルデラ台地にその社はある。寺に近づくにつれ硫黄の臭いが鼻を突き、硫気孔から吐かれるガスが赤い風車に漂う様は、「あの世への入り口だった」と思わせるほどの情景だ。
あの世とこの世を繋ぐイタコの口寄せも聞きたかったが、夏の例大祭と秋祭りの二回だけしか行わないようで、残念ながら諦めた。
民俗学に興味があるわけではないが、なぜこんな所に惹かれるのか?と自問自答した。昔のイタコは盲目の老婆がその任にあたったそうだ。もう存在しないが、やはり盲目の女旅芸ごぜを画いた斎藤真一の絵に、強烈な印象を感じていた。
彼が絵画の中で表現した赤と恐山に刺してある風車の赤が、なぜか私の中で同化され、情念の世界を作り出す。
私の本質は、寂しがりで根暗なのだろう。そう思うことが、度々ある。