昨年九月伊豆高原に住処を購入してから、初の夏休みがきた。
七日早朝ワクワクしながらハンドルを握ったが、さしずめこれは田中家の民族大移動でもある。
猫バスとそう呼んでいるホンダ車に、六匹それぞれのゲージと猫砂、そして生活用品。
おまけに、糠味噌も一緒に移動する。
概ね四時間はかかる移動時間に、猫は何時も苦情の悲鳴?をあげている。
抗議のつもりか、ウンチやオシッコをもらす輩もおり
毎回途中のサービスエリアで、かみさんが下の世話をする始末。
でも我慢の甲斐あってか、住処に着くと緑の中を猫はのびのびと遊びまわっている。
我々夫婦だけでなく猫も羽を伸ばす姿に、満足の笑みも湧くが
今回の静岡地震では、親族だけでなく友人知人にまで心配をかけてしまった。
幸い、地盤が溶岩石で強固なうえ、平屋建てもあってか揺れが少なかったようだ。
と言うのも、私は月曜日の晩仕事上の会食があり東京に戻っていた。
会は盛り上がり、そうなれば当然新幹線の最終には間に合わず、自宅に帰還することに。
従って、地震発生時は、かみさんと猫だけが住処にいた。
早朝娘の突然の電話で地震を知った。おかあさんが電話にでないと心配する娘に、多分熟睡していると答え、ひとまず電話を切ったが
時が経つにつれ被害の状況が明らかになり、別の意味で自信はあったが、正直内心ドキッと。
電話は輻輳しておりなかなか繋がらず、やっと繋がったても応答は無し。
一時間以上経ってどうにか連絡が取れたが、かみさんは電話口でキョトンとしているばかりであった。
聞くと、案の定熟睡していた様子で、私と同じテレビでそのことを知り驚いていた。
電車の遅れで夜遅く伊豆に戻ったが、猫バスで駅に迎えにきてくれたかみさんの笑顔に、安堵する自分がそこにいた。
と、同時に、安否を気遣ってくれた友人知人の優しい顔が自然と目に浮かんできた。
終わり良ければ全て良し。ただ、長い一日となったことも確かだ。