かねがね棲家を拠点に西へ日帰り旅をしたいと言っていたかみさんの提案で
息子が誕生して一年経つか経たない頃、亡き父と今は姉の家に身を寄せている母と私たち家族で行った父の実家への旅を辿った。
当時はホンダのビガーに乗っていて、東名を静岡で降り一号線を下り、安倍川橋のたもとで
文化元年に開業した石部屋の元祖あべかわもちを食べた。それ以来だから、からこれ32年ほど前だ。
当時の雰囲気と美味しさは今も変わらず、これぞ元祖で名物と納得させられたが
トイレを借りたかみさんは、帰って一言「トイレが外にあるので、田舎を思い出した」と、笑っている。



安倍川を渡り旧東海道をさらに西へ下ると、歌川広重が版画で描いた東海道53次の一つ鞠子宿に差し掛かる。
その道沿いにあり慶長元年に創業したとろろ汁のお店丁子屋にも立ち寄った。
炊き立ての麦飯に自然薯を摩り下ろしたとろろ汁。400年14代続く味は、何度食べても飽きがこない伝統の味。
お店の前で記念写真を撮ったのは、昨日の事のようだ。

お腹を満たし、実家のあった藤枝市横内へ車を走らす。
旧東海道沿いにあった実家は、3代目が近くに新居を構えたことから今は知らない人が住んでいるが
故郷の川とそこに掛かるコンクリートの橋は、魚獲りをした幼い時からの記憶のまま。
従妹の新居にお邪魔して、ひとしきり昔話に花をさかせてお暇したが
伊豆に帰る途中日本平のパーキングに寄って食べた静岡おでんの味も、これまた懐かしい。
牛スジに鰹節の粉と青海苔をかけた独特のおでんだが、かみさんも納得の美味しさに、大満足の一日になった。
次回は、富士の湧水で有名な三島の柿田川へ。