セーヌの流れに沿うように、美しい村が点在するノルマンディー。
フランス全土には、150にも上る美しい村が存在する。
村のレストランの食事とワインもやはりフランス、星が付かなくても極上の味。
と、ここまではハッピーな時間を過ごしてきたが
禍福は糾える縄の如しで、この日はまさにその例え通りの展開になっていった。
当初の計画は、何度もパリに来ているがベルサイユ宮殿に行ったことがないのでこのコースを選択していた。
ところが、年金問題ストライキがあるので宮殿は観光できませんと言われ
変わりにジベェルニーのモネの庭園に行きませんかと、ガイドさんから提案された。
ベルサイユは、カミサンがすでに観光してたので、それもあって行きたかっただけで
モネの庭園が頭に浮かんでいたら、最初からこちらを選択していた。
そんなわけで喜んで車に乗り込もうとしたが
昨日買ったコーヒーカップティーポットにお皿、それとペンダントのお土産がホテルに届いておらず
お店が開く十時までの約一時間足止めをくらってしまった。
その怒りは、庭園と村の景色と食事が収めてくれ、満足しきって空港へと向かった。
空港では、免税とチェックインを済ませ、ガイドさんに見送られながら出国カウンターへと足を運び
エアフランスのフランクフルト行きゲートへと向かった。
手荷物検査も終わり、後は搭乗を待つだけ。心は既にJALに乗り継ぎ日本の地。
ところが、突然のフライトキャンセル。ストライキの間引き運行に、この便が当たってしまった。
サービスカウンターに行ってくださいと言われ、肩を落としそれこそどうなることやと、カウンターへ。
善後策としてエアーフランスの直行便チケットを手渡されたが、これがなんと五時間待ちで、渋々ラウンジへと逆戻り。
まずは腹ごしらえと、ビールにワインとサンドイッチを口に運ぶが、時間は三十分もあれば十分で
読みかけの小説を取り出し、時間つぶしに入った。
しばらくの間活字を追っていたが、フッとワールドカップが頭に浮かび
そうだ、今日は日本対ベルギーの予選突破を掛けた大一番があるぞと
テレビの前に陣取り、中継をまった。
だんだん人が集まりだし、いよいよキックオフ。
いまさら最終結果もないが、もしフライトキャンセルがなかったら
勝利の瞬間を見逃していたし、感激も薄かった。
時間も忘れすっかり興奮して、気分良くゲートへと向かい
日本勝利の美酒に酔いつつ、成田目指して眠りについた。
余談だが、帰国した二週間後にフランスから小包が届いた。
発送先は、陶器のお土産を買ったお店で、担当した日本の女性からの
丁寧な詫び状とキャンドルを燈す美しい陶器が入っていた。
まさに禍福は糾える。