都会を離れれば離れるほど目に入る色は、草木の緑。

この緑という色は、薄黄緑から黒に近い緑まで濃淡のバリエーションは実に豊富。
青に近いエメラルドグリーンもある。
新聞が信号機の緑を間違って青と書いて、それが今日まで常識として通用しているのは、一つの例だ。

風景画を描く人は、写真家以上に緑に対して微細に目を凝らす。

草木の種類や季節で、また天候でその多彩な色を微妙に変化させているからだ。
紅葉すれば、色鮮やかな暖色系に変貌するなど、実に味わい深い。

伊豆で見た夏の緑は、春と違い葉の成長で色に力強さが加わっている。

季節的にもピークを迎えたこの緑は、高原で秋の到来を告げるかのように舞うアキアカネに反応し、実りの色や別れの色への準備を整えるはず。

草木の緑ほど、私を虜にする色はない。