閑話休題
11月2日金曜日。寝たきりだったが、朝は好物のマグロの切り身を食べつくした。昼過ぎ突然起き出しソファーを降りトイレへ。中に入る体力はもう残っていないのか、座り込んでしまった。水を飲みたかろうと差し出すと、美味しそうに何度も舌を出した。
夜も切り身を与えてが、食には貪欲なサクラは、口をつけなかった。今まで送った猫も最後は食べなくなり、数日で天に召されていった。もう死期は近いとかみさんと話していたら、三度嗚咽を漏らしてアッというまに昇天してしまった。18時35分。
最後の夜を少しでも穏やかにと思ってバスタオルを掛けてやると、スパオ君がサクラを見守るかのように寄り添ってくれた。
次女が小学校一年の春、近くの公園から帰るとき付いて来たサクラ。当時は今は亡きカルちゃん一匹で、多頭飼いは好きではなかったが、娘に懇願され飼うことを許した。公園の桜が満開だったことから、我が家に来た季節を忘れないようサクラと名付けた。
食欲旺盛、好き嫌い無く何でも食べ、私も見習いたいほどの見事な大往生。かみさんが盛り込んだ花に囲まれ荼毘に。享年23歳。猫の年齢で見ると化け猫期に入っているらしい。見事成仏した姿に、合掌。



朝一番の受付で葬祭場に行き、サクラを見送りその足でお孫ちゃん優剛の七五三の祝いに駆けつけた。木々が色付き始めた浦和の調(つき)神社での儀式に参列した優剛は、晴れ着姿に少々照れてはいたが、何でもよくしゃべり、成長の跡が伺え微笑ましい。このまま無事に小学校に進学してほしいものだ。

七五三の最中、タイミング良く「車が仕上がった」と、次女に連絡が。お祝いの昼食をそこそこに、所沢のジムニー専門店へ車をピックアップしに。
娘にとっては初のマイカーだが、当初から古いスズキジムニーを探していた。二度ほど車探しのお付き合いをしたが、決め手になった車は、かみさんと見に行き決めてきた。
軽の四駆と個性が際立つジムニーの世界は、タイヤのインチアップから始まり改造するオーナーが多い。手に入れた車も、改造とボディーの色まで手が付けられしかも平成7年車と、22年落ちだが、シブいクラシックなデザインに魅力を感じたようだ。
それに走行距離が4万キロ代なのが貴重で、100万円を超えるお値打ちでも娘は納得していた。
「後何十万か出せば新車が買えるのに」と思うのは、親の価値観で、確かにフリーカメラマンの娘にはお似合だ。
最近はアウトドアの仕事も増えたようで、この車を駆けて撮影に向かう娘の笑顔を想像すると、
忙しい一日だったが、全てに安堵の気持ちが湧いてきた一日となった。