美の宝庫ウッフイッツィ美術館。若い頃先輩達から「本物を見なさい」と言われてきたことを、「成るほど」と感動し実感させてくれたのが、この美術館に飾れれているボッティチェリが描いたヴィーナスの誕生プリマベーラだった。
22年ほど前の事だが、F1ドライバーで音速の貴公子と呼ばれた故アイルトン・セナマクラーレン・ホンダで活躍していた時代に、ある人からF1レースの視察に誘われイタリアに来た。今回同様ベネチアから電車に乗りフィレンツェ経由でレース場のあるモンツァに行ったが、知人は仕事があり一足早くモンツァに向かい、私はフィレンツェを観光し美術館にも立ち寄った。
ボッティチェリの二作品は教科書と美術書でしか見た事がなく、スケールの大きさとその美しさは、本物を見て初めて知ることになった。
余談だが、ボッティチェリの画に見惚れて、財布とパスポートの入ったバッグを、画の前並んでいた椅子の上に忘れて出て行ってしまった。廊下にでてそれに気づき慌てて戻ったところ、バッグはそのまま置かれていた。これが外だったら無くなっていたろうし、外国語など話せない私は、間違いなく右往左往していたに違いない。今もって冷や汗の出そうなウッカリだが、感動の度合いを理解して頂けそうなエピソードだった。