雨上がりのアンコールワット。この石橋を渡るのはもう四回目だ。
初めて来たときが一番新鮮だったのは当然だが、インパクトも強かった。
十年以上前のことだが、地雷を踏んで手足が吹き飛ばされた少女が、門の下で籠を置いて座っていた。
その幼気な少女と目を合わせた時、同情心から思わず10ドル札を籠に入れてしまった。
私にとっての精一杯の気持ちと、ある意味の満足感だったが
二年位後だったか、週刊アエラがこの少女と両親の話を記事にした。
私みたいな観光客が大勢現れたことで、少女の両親は大金を手にすることになった。
すると当然のごとく生活が派手になり、父親は酒浸りの日々を過ごすことに。
それに引き替え、娘は相も変わらず門の下に座らせ、学校すら行かせいていなかった。
これには地元の人もさすがに呆れ、両親を徹底的に非難した。
その甲斐あってか、両親は改心し娘を学校に通わせ、それ以来門の下に座ることはなかったそうだ。
お金の価値と重みそして使い道を考えさせられる出来事になった。