道央富良野は、ヘソの町と呼ばれているが
美しい大自然を背景に、家族の絆を描いてきたテレビドラマ「北の国から」のロケ地としての方が有名だ。
もう三十年前になるだろうか、真冬の富良野を訪ねたことがある。
落合岳という山の頂上に無線の鉄塔があり、電電公社の職員が雪上車に乗って保守・点検に行く姿を取材するのが目的だった。
確か北欧製の雪上車で、横滑り防止のキャタピラを装着していた。
その雪上車さえも頂上まで登りきれないないほど、山頂付近は急斜面で
やはり滑走面に滑り止めの毛皮を貼り付けたスキーに履き替え、無線中継所を目指した。
厳冬の北海道は、電話のネットワークが人の生命線。中山峠や朱鞠内の取材もしたが、現場機関の苦労を身に染みて感じることが出来た。
取材を終え、北の国からのロケに使用された居酒屋で職員の方達と食事を共にしたが
別れ際に旅館まで送っていくからと言われ、申し訳ないので辞退したところ
お酒が入いると外の寒さが気持ちよくなり、玄関にたどり着く前に雪の上で寝てしまう人がいる。
年に何人かはそれで凍死してしまうと脅かされ、素直に送ってもらった。
綺麗なお花畑を目にしながら蘇った二十代の記憶。