春先伊豆に植えたくちなしが、陽を浴びながら自慢げに花をつけていた。

この花を見ると、初めてカラオケを歌った時分を思い出す。

器械に弁当箱を小さくしたような8トラのカセットを挿入し、歌本を見ながらマイクを握った25年ほど前のことを。

それが、何故くちなしかって。

神田のスナックで顔を赤らめドキドキしながら初めて唄った歌が、渡哲也のくちなしの花。

家族認定の音痴だったけど…。